モザイクについて

モザイクの定義と種類

 簡単に言ってしまうと「石、ガラス、タイルなどの小片で模様を表現した装飾。」なのでしょうが、その内容は複雑です。
 まず形状から大きく分け、「ローマンモザイク」と「フローレンスモザイク」に分けてみましょう。

 私達がよく目にするモザイクは、すべてローマンモザイクに分類されます。普通にモザイクと言えばローマンモザイクのことをさします。素材は色々な石、色ガラス、タイル、木、貝、プラスチック、金属、紙など、何でもありです。ただ、それらを小さく分割して並べ、絵柄や模様を作ってゆきます。
 大理石を使えば大理石モザイク、ガラスを使えばガラスモザイクと呼ばれます。小さく割って並べてゆくとグラデーションが表現しやすくなり、絵画的な表現も可能です。また、適度な目地が、画面全体に柔らかさを与えます。
 私どもの工房はこの方法でモザイクを制作しています。たいへんな時間と根気がいりますがこれを惜しむと良いものができません。

 特別に「ローマンモザイク」と言う場合があります。色ガラスの極めて細い棒を作り、1〜2mmにカットして隙間なく並べてゆく方法です。ブローチや小物箱などに付けられ、ちょっと見るとエナメル絵付けの様です。おもに、工芸品に対して使われているようです。

 フローレンスモザイクは、石などの薄い平らな素材を、絵柄や背景の形で切り取り、隙間なく組み合わせていったものです。ルネサンス時代にフィレンツェで盛んに制作されたのでこう呼ばれます。ちょっと違いますが、箱根細工を思い出してみるのが近いかも知れません。

 そのほかに混同されがちな言葉で、モザイクタイルやモザイクガラスというのがあります。モザイクタイルは、タイル販売業者様などで、小さめで色数の多いタイルそのものをさす様です。モザイクガラスは、コアグラス、ミリフィオリ、トンボ玉など絵柄のついたガラスをさします。

 また、イスラムのモスクにみるようなタイルをモザイクという場合があります。一枚ずつのタイルにはそれぞれの絵柄があり、それが巨大な建築物を作っています。これはけっこうもめる話らしいのですが、私はこれも「イスラムのモザイク」と呼んでます。どこまでの何をモザイクと呼ぶかは難しいことと思っています。日本の螺鈿や木画なども考え方によっては「モザイク」かも知れません。この渾沌とした曖昧さが、「モザイク」という言葉の魅力の一つかも知れません。


モザイクの歴史

 モザイクが、いつ頃から作り始められたかは分かりません。小石を床に敷き詰めても、モザイクと言えるかどうか分かりません。ただ、敷き詰めた小石に、色違いの小石で模様を付けたり、並べ方に一定の規則を持たせたりした時が、モザイク誕生の瞬間ではないでしょうか。今より何千年も、或いはもっと前の出来事であったはずです。

 建築装飾として、現在最古のモザイクの遺構は、紀元前3,500〜3,000年頃、メソポタミアのユーフラテス河岸の都市、ウルクに見られます。エアンナと呼ばれる聖域で、壁や柱が、縞瑪瑙、貝、陶片で装飾された神殿が、確認されました。
 通常、モザイクの起源とされているのは、紀元前2,600年、メソポタミアのシュメール初期王朝の頃と言われています。ウルの王墓より発掘された中に「ウルのスタンダード」と呼ばれる副葬品が有ります。これが現在最古のモザイク画と言われています。高さ216mm、巾495mmほどの、跳び箱の様な形をしたもので、戦争と平和の画面を表裏に、モザイクで表現しています。素材は、ラピスラズリ、貝、骨などです。また、その他の副葬品も、モザイク模様で飾られています。

 その後、古代ギリシャの広い範囲で、白や黒の自然の小石で作られた床モザイクが作れるようになります。紀元前400年頃、当時のモザイク界で大革命が起きます。石を割り、四角い状態での素材(属にいうテッセラ)を使ってモザイクが作られました。あまりたいした出来事じゃない様な気がしますが、自然の形の石を使っていたものが、人為的に形を作るようになったのです。これにより石の色数にバリエーションができ、微妙なグラデーションも可能になりました。なんといっても、石のサイズを自分で決められるので、緻密な制作が可能になり、より絵画的になってゆきます。モザイクはギリシャ全土の施設の床を飾ってゆき、その後ローマ、ビザンチンに受け継がれてゆきます。

 古代ローマの時代に入るとモザイクは技術的にも様式的にも成熟してゆきます。広い王宮や鋪道までもモザイクで飾られる様にになります。王宮お抱えのモザイク師と言われる人も出て職人として認められてもいました。また、ビザンチンの時代に、新しい用途が生まれました。この頃より、キリスト教教会の壁面を飾るようになります。以前から色ガラスは使われていましたが、なんといっても、金箔を挟んだガラスの使用です。強固な石造りの教会は窓が少なく、暗いものです。その天井や壁に光り輝く金を使いました。その光彩には宗教的な効果も十分期待できたはずです。
 その後、ルネッサンス期に入ると全てではありませんが、天井や壁の壁画は、フレスコ画に変わってゆきます。そして、手軽なキャンバスの出現により、モザイクはもとより壁画装飾自体が終焉を迎えます。


モザイクの行方

 ここまで読まれて「えっ」と思われたかも知れません。事実、モザイクはもとより壁画装飾自体が終焉を迎えました。しかもこれはモザイクが育ってきたヨーロッパでの出来事です。日本の場合、問題はもっと深刻かも知れません。日本では明治から大正にかけて数々の西洋建築が建てられ、少なからずモザイクも作られました。でも、それは純然たる西洋建築の中での装飾です。

 私が始めてモザイクの仕事に携わった時、小さな疑問が生まれました。モザイクって日本の生活環境や風景の中に適合するのだろうか。この疑問は20年経った今も持ち続けています。一度は、モザイクの仕事をやめてCGの仕事をしたりもしました。
 ただ、モザイクという素材の特性について、捨てがたいものがあります。最大の特徴はその耐久性です。施工方法さえ間違えなければ、簡単なメンテナンスでいつまでも美しさを失いません。また、床材として使った場合踏み心地の良さと、まず滑らないという利点があります。細かい事を挙げてゆくと切りがありませんが建材としてはたいへん優れています。

 問題は、日本の生活環境や風景の中に適合するデザインをどうするかです。この事は仕事の依頼を受けるたびに、いつも頭を悩ます最大の問題です。うまくはいってないかも知れません。でも、最大の努力はしています。
 ここ20年だけでも街や住居の形が変わってきました。コンクリートの住宅が増え、あまりにも無機質な空間が増えたような気がします。まだまだ、生活を楽しくするような空間を創る余地があるような気がします。「日本の生活環境や風景の中に適合するモザイクのデザイン」を考え続けることにより、今後の日本でのモザイクの行方をさがして行こうと思います。


〒222-0013 横浜市 港北区 錦が丘15-21-205
telephone/facsimile:045(421)6976



★ サイトマップ | ★ ご利用にあたり


星の工房







モザイクについて
制作工程
色々な疑問と答え
施工例
公共施設
商業店鋪
集合住宅
個人住宅
エクステリア
ポイント柄
ステンドグラス
住宅のリフォーム
お問合せ
彼方此方観て歩記
掌の玩具
Link
HOME